家族法関係

2012年6月 9日 (土)

民法における扶養義務とは

民法には、2種類の扶養義務が規定されています。

1つは、夫婦相互間及び親の未成熟の子に対する扶養であり、これについては、自分と同程度の生活を保障することを意味します。

もう1つは、民法877条に規定される扶養であり、芸能人の親族の生活保護の受給問題でクローズアップされているところです。

ちなみに、この規定で求められる扶養の程度としては、自分の生活を維持できたうえで、なお余裕がある場合に、扶養される人の最少限度の生活を保障するものと解されています。

但し、生活保護法4条2項では、民法で規定されている扶養義務は、生活保護法による保護に優先される旨が規定されているため、特に民法877条の取り扱いが、今後、問題視されることになると思われます。

【参考】民法877条(扶養義務者)
1 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

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2012年1月27日 (金)

嫡出子:性同一性障害の男性 子供めぐり不服申し立てへ

家族法分野で、今まで想定していない事例が司法の場で問題になるケースは増えることでしょう。

【嫡出子:性同一性障害の男性 子供めぐり不服申し立てへ】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120128k0000m040061000c.html

性同一性障害で戸籍の性別を女性から男性に変えた東大阪市の会社員の男性(29)と妻(30)が、第三者から精子の提供を受けもうけた男児(2)を法律上の夫婦の子である「嫡出子」と認めないのは不当だとして、東京家庭裁判所に不服を申し立てることを決めた。27日に本籍がある東京都新宿区役所に出生届を出したが、認められなかったため。こうした問題が司法の場で問われるのは初めて。

夫婦は男児が生まれた時に、当時住んでいた兵庫県宍粟(しそう)市に出生届を出したが、「遺伝的に父子関係がないのは明らか」として嫡出子として認められず、届け出を取り下げた。男児は今も無戸籍の状態だ。27日に対応した新宿区役所職員は「非嫡出子(婚外子)として書き直すよう求める書面を送る。応じてもらえない場合は区長の権限で非嫡出子として戸籍に記載する」と説明した。

男性は「一般の夫婦では提供精子でもうけた子が嫡出子になっている。なぜ性同一性障害だと法的に男性になった後も差別を受けるのか」と訴えている。

(2012.1.27 20:00 毎日.jp)

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2011年8月20日 (土)

夫が亡くなった後で、夫の親に対して扶養義務は?

Q:夫が亡くなった後でも、夫の親に対して扶養義務はあるのでしょうか。

A:「姻族関係終了届」を提出すれば、扶養義務はなくなります。

【解説】

法律上、結婚すると配偶者の父母や兄弟姉妹などの間に、「姻族」という関係が成立します。

姻族の関係は、離婚すると当然に消滅しますが、配偶者が亡くなった場合は、当然には消滅しません。

したがって、配偶者の死後、配偶者の親に対して扶養義務を負いたくないなど、配偶者の血族との縁を切りたい場合は、「姻族関係終了届」を提出することになります。

「姻族関係終了届」は、配偶者の死亡届が受理された後であれば、いつでも本籍地または住所地の市区町村役場に提出することができます。

そして、この届出をするにあたって、配偶者の血族の了解は不要です。

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2009年10月 3日 (土)

<非嫡出子>相続規定、最高裁が合憲決定

婚姻していない男女の間に生まれた「非嫡出子」の遺産相続分を嫡出子の半分と定めた民法の規定の合憲性が争われた審判で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は9月30日付の決定で「法の下の平等を定めた憲法14条に違反しない」と判断し、非嫡出子側の特別抗告を棄却した。
http://mainichi.jp/select/today/news/20091003k0000e040063000c.html

決定は4裁判官中3人の多数意見で判例を踏襲したとはいえ、合憲とした竹内行夫裁判官までもが「相続時は合憲だが、社会情勢は変化し、現時点では違憲の疑いが極めて強い」と補足意見を述べたり、国会に法改正を強く求めるなどの指摘をしています。

賛否両論はあるでしょうが、竹内裁判官の補足意見から推測して、将来的には違憲判決が出ることを示唆したといっても過言ではないだろうし、この法改正につき国会審議で取り挙げない訳には行かない段階に来ているといえます。

ちなみに、民法改正についての動向ですが、

今月1日の閣議後の記者会見で千葉景子法相は、この「非嫡出子の相続差別撤廃」や「女性の再婚禁止期間短縮」などを内容とする民法改正を目指す考えや、「選択的夫婦別姓」の導入のための同法改正案を来年の通常国会に提出する意向を表明しています。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date3&k=2009100100965

また、9月17日に法制審議会会議が行われ、民法の成年年齢の引下げについては審議されています。
http://www.moj.go.jp/SHINGI2/090917-1.html

ところが、8月23日のブログで紹介した債権法改正については、9月17日の法制審議会会議では採り挙げられていません。
http://m-fujitani.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-ba50.html

民法改正関係の動向にも注目して行きたいです。

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