生活保護

2012年6月23日 (土)

親族の資産調査どこまで…扶養義務、難しい厳格化 生活保護問題

産経新聞東京社会部は、生活保護に関する情報・意見を募集するようですが、芸人の問題でますます生活保護に注目が集まっている状況ですね。

親族の扶養義務については、本来的には厳格化すべきと思いますが、この記事で書いているようなケースワーカーの負担を考えると難しいのも理解できます。

生活保護だけでなく、年金でもいえますが、この両制度は正直者ほど損をする印象が強く、制度に対する不信感は強いから、色々な意見が出てくると思います。

まず、生活保護も含めた社会保障全体の仕組みの見直しは先決だと思いますが、消費税論議でも後回しになってしまったので、あまり期待できないのではと思われている方も多いと思います。

それから、本来生活保護が必要な方には、機敏な対応が求められるということを念頭に置いて欲しいものです。

【親族の資産調査どこまで…扶養義務、難しい厳格化 生活保護問題】
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120623/trd12062314030006-n1.htm

 人気お笑い芸人が高額の住宅ローンを支払い、その住宅に住む母親が生活保護を受給している-。こうした実態が発覚し、お笑い芸人が釈明会見して以降、自治体には「これで生活保護が受けられるなら、うちも…」といった問い合わせが相次いでいる。国会では議員が生活保護を管轄する厚生労働省の対応を痛烈に批判、厚労省は厳しくチェックしていく方針を示したが、不公平感の解消にはほど遠いのが現状だ。

 ■資産形成の声も

 吉本興業のお笑いコンビ「キングコング」の梶原雄太さん(31)は5月30日、母親が生活保護を受けていたことで記者会見を開いた。梶原さんや吉本興業によると、梶原さんは平成14年、大阪市に約2千万円のマンションを自分名義で母親のために購入した。

 当初は銀行で長期ローンを組んだが、20年にノンバンクの短期ローンに組み換えた。返済額は月額40万円超。自治体には、月々、それだけの額を支払えるなら、母親が生活保護を受けているのはおかしいといった趣旨の問い合わせが寄せられている。

 「住宅ローンの負担があるので生活保護を受けられないか」「家の名義を自分に変えるので、親にも生活保護を受けさせたい」。東京都の生活保護窓口にはこんな問い合わせが相次ぐ。都の担当者は「意図的に住宅の名義を変えても生活保護は受けられない」と説明するなど対応に苦慮している。複数の自治体の担当者は梶原さんのケースについて「違和感を覚える受給」と口をそろえる。

 生活保護法では保護費の支給対象は資産がなく困窮している人と定められている。梶原さんのケースは、マンションの名義は梶原さん本人だ。このため、日常住んでいてもマンションは母親の資産とはみなされず、母親の生活保護受給が可能になったとみられる。

 ある政令市の担当者は「これでは生活保護費が梶原さんの資産形成につながっている構図になりかねない。世間の感覚とかけ離れている」と指摘する。

 問題は国会にも波及。12日の衆院予算委で、自民党の馳浩議員は実名こそ挙げなかったが、梶原さんを念頭に質問。隣接するマンションには自衛官の兄も住んでいると指摘し「扶養義務があるのではないか」と厚労省側をただした。

 ■「今さら援助」

 小宮山洋子厚労相は5月、生活保護を受けようとする人の親族らについて扶養が困難な理由を証明する義務を課す考えを示した。

 しかし、厳格化には難しさがつきまとう。北九州市では平成17、18年、保護を求めていた男性2人が相次いで死亡した。門司区の56歳の男性は生活保護の受給申請をしたが、市は扶養義務のある長男と次男が近所に住んでいたことを理由に「まずお子さんに相談して」と申請を受け付けなかった。男性はその後、餓死。厳密にチェックしすぎた結果だったとみられる。

 親族の調査にあたるケースワーカーの負担も大きい。資力に余裕がある親族がいても「『なんで今さら援助しなければいけないのか』と断られるケースもある」(政令市)。北九州市の担当者は「漏れのない支援とともに自立に向けた支援をすることで、生活保護からの脱却を目指すことが重要だ」と話している。

 産経新聞東京社会部は、生活保護に関する情報、ご意見を募集します。Eメールはt‐hen‐shakai@sankei.co.jp、ファクスは03-5255-6634、郵送は〒100-8077(住所不要)産経新聞社会部「生活保護問題取材班」係へ。ご自身の連絡先を明記してください。

(2012.6.23 13:59 msn.産経ニュース)

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2012年6月 2日 (土)

親族扶養で家裁活用ゼロ…生活保護巡り自治体

親族扶養で家裁を活用するというのは、生活保護法77条2項による制度で、私も正直、この制度は知りませんでした。

生活保護の不正受給が問題になっていますが、本当に生活保護が必要な人にとっては、迅速性が最も要求されています。

不正受給の解消を図ることも当然必要ですが、同時に生活保護支給へのシステムの見直しも早急に求められます。

【親族扶養で家裁活用ゼロ…生活保護巡り自治体】
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120601-OYT1T01488.htm

 生活保護受給者に扶養可能な親族がいるのに、生活費の負担額が折り合わない場合に、自治体が活用できる家庭裁判所への申し立てについて、読売新聞が全国の主要74区市に取材したところ、昨年度はゼロだったことがわかった。

 人気芸能人の扶養問題や受給者の急増を受け、国は司法の積極活用を打ち出したものの、現場では困惑や反発が目立ち、実効性のある手段が見あたらないのが現状だ。

 お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さん(37)が母親の受給を認めた5月25日、小宮山厚生労働相は国会答弁の中で、家裁の手続きのマニュアルやモデルケースを示し、自治体に活用を促すと明言。「扶養可能な義務者には、必要に応じて保護費の返還を求める」と強い姿勢を示した。受給者は昨年7月以降、過去最多を更新し続け、210万人に迫る。事業費が3兆7000億円にも膨張した現状への危機感が背景にある。

 申し立てについて、読売新聞が道府県庁所在地(46市)とこれ以外の政令市(5市)、東京23区に取材したところ、昨年度に家裁を活用したケースはゼロ。札幌市や静岡市など「過去に一度も行ったことがない」と答えた自治体もあった。

(2012.6.2 3:05 YOMIURI ONLINE)

【参考:生活保護法77条】
① 被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。
② 前項の場合において、扶養義務者の負担すべき額について、保護の実施機関と扶養義務者の間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、保護の実施機関の申立により家庭裁判所が、これを定める。
③ 前項の処分は、家事審判法 の適用については、同法第9条第1項 乙類に掲げる事項とみなす。

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2010年10月 8日 (金)

生活保護費:貸付制度利用なら「不要」20億円--検査院調査

せっかくこれだけのことが明らかになったのですから、生活保護を含めたセーフティーネットのシステムを構築してほしいものです。

【生活保護費:貸付制度利用なら「不要」20億円--検査院調査】
http://mainichi.jp/select/wadai/archive/news/2010/10/08/20101008ddm002040031000c.html

会計検査院が65歳以上で自宅を持つ生活保護世帯のうち約1500世帯を抽出調査したところ、自宅を担保に生活資金を貸し付ける制度を利用していれば約400世帯は生活保護を受ける必要がなかったことが分かった。自治体は生活保護を給付する前に、できる限り他の制度を活用するよう法で求められている。この貸付制度を使った場合、生活保護費約20億円の支出が不要だったとして、検査院は厚生労働省に利用徹底を求める方針だ。

この制度は「要保護世帯向け不動産担保型生活資金貸付制度」。厚労省によると、世帯主や配偶者が65歳以上で生活保護が必要なほど困窮している場合、自宅の土地やマンションなど500万円以上の不動産を担保に、各自治体の社会福祉協議会が生活費を貸し付ける。限度額は不動産評価額の約7割で、限度額に達すれば生活保護に移行し、世帯主らの死後、不動産の売却などで清算される。09年9月現在、全国で626世帯が利用している。

関係者によると、生活保護が不要だったと判断された約400世帯は、自治体などの担当者が貸付制度について、保証人は不要なのに必要と思い込んで利用を断ったり、担保となる資産の評価額の基準を間違うなどして、利用できたのにしなかったという。

厚労省保護課は「生活保護は最後のセーフティーネット。給付前に利用できる制度があれば、利用を徹底するよう指導したい」と話している。【桐野耕一】

(2010.10.8 毎日新聞 東京朝刊)

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2010年8月 9日 (月)

貧困ビジネス規制条例、大阪府が制定へ

囲い屋を規制する条例制定に向けて動き出したこと自体は、大いに評価します。

しかしながら、同時に、生活保護費がビジネスのターゲットになること自体が、生活保護の制度的問題として今後解決していくべき課題であるともいえます。

【貧困ビジネス規制条例、大阪府が制定へ】
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100809-OYT1T00051.htm

生活保護費から高額の家賃や生活サービス料を徴収する「囲い屋」が横行している貧困ビジネス問題で、大阪府が、囲い屋を規制する全国初の条例制定を検討していることがわかった。

サービス内容や金額の明示を義務づけ、利用者側からの解約を自由にすることなどが柱。来年度施行を目指し、早ければ9月議会に提案する。

条例案では、業者側に家賃と、生活サービスの内容・料金の内訳を契約書に明記させ、口頭でも説明するよう義務づける。

また、利用者が申し出れば、無条件に解約できるとする条項も設ける。生活保護受給者が生活サービスだけの解除を申し出ると、住居からの退去を求められたり、高額な違約金を請求されたりするケースがあったためだ。条例に違反した場合の罰則や、業者の登録、届け出制も検討している。

ただ、生活サービスと住居の「セット契約」自体は、適正価格で行っている業者もあり、禁止はしない方針。8月中に、条例案について府民の意見を募るパブリックコメントを実施し、最終的に内容を詰める。

生活保護受給者の住居を巡っては昨年夏頃から、高額な家賃と食事などの生活サービス料名目で保護費の大半を差し引く不明朗な契約実態が府内各地で表面化。府は、調査に乗り出した大阪市と連携し、条例制定の準備を進めていた。

国政レベルでは、民主党も貧困ビジネス対策を考える議員連盟を今年4月に発足させ、規制強化に向けた議員立法を検討している。

(2010.8.9 8:09 YOMIURI ONLINE)

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2010年2月 9日 (火)

「大阪生活保護受けやすい」他の自治体が勧める

各自治体において、適正な運用がされることを望みます。

【「大阪生活保護受けやすい」他の自治体が勧める】
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100209-OYT1T00624.htm

生活保護の受給者が全国最多の大阪市は9日、今年度の受給申請者らのうち少なくとも27人が他の自治体から「大阪に行けば何とかなる」などと勧められていたと明らかにした。

昨年12月の受給申請者2816人のうち、半年以内に市外から転入した人が約1割の274人いたことも判明。市は生活保護の“たらい回し”が横行しているとして、関係自治体に改善を求めた。

市が受給申請者らに聞き取り調査などを実施。最初に相談した他の自治体で「大阪市西成区なら生活保護を受けやすい」「大阪の方が仕事はある」などと勧められた人が、九州や四国など大阪府外の自治体で言われたのが15人、府内自治体で12人いた。大阪市までの交通費を助成した自治体もあったという。

大阪市の今年度の生活保護費は2443億円(国費含む)で財政を圧迫。生活保護法では、最初に申請相談を受けた自治体による保護が原則で、市は「保護責任の現地主義を徹底すべきだ」としている。

(2010.2.9 12:36 YOMIURI ONLINE)

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