認知症徘徊の列車事故訴訟、最高裁で家族側が逆転勝訴
この訴訟の1審判決が出たときは、非常に衝撃を受けましたが、ようやく妥当な判断が下されたと思います。
配偶者や家族であることだけでは、当然に民法714条(責任無能力者の監督義務者等の責任に関する規定)の『監督義務者』にあたらず、特別な状況がなければ、監督責任を負わないと判示されたことは、画期的な判決といえます。
【認知症の事故、家族の責任なし…最高裁が初判断】
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160301-OYT1T50137.html?from=ytop_top
認知症の男性(当時91歳)が徘徊して列車にはねられた事故を巡り、家族が監督義務を怠ったなどとして、JR東海が男性の妻(93)と長男(65)に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が1日、最高裁第3小法廷であった。
岡部喜代子裁判長は「家族が監督義務者にあたるかどうかの判断では、監督が可能で容易な立場だったかなどを総合的に考慮すべきだ」とする初判断を示した。その上で、妻と長男は監督義務者ではなかったとし、1、2審の賠償命令を破棄して請求を棄却した。家族側の逆転勝訴が確定した。
裁判官5人の全員一致の判決。在宅介護を担う家族の負担が軽減される一方、被害回復が難しくなる可能性がある。5人のうち2人は判決理由について、「長男は監督義務者にあたるが、自分の妻を男性の近くに住まわせるなど義務を尽くしており、免責される」という意見を付けた。
判決によると、愛知県大府市の男性は2007年12月、当時85歳だった同居の妻がうたた寝をしている間に外出。JR東海道線の駅構内で列車にはねられ死亡した。JR東海は10年2月、妻や長男らに運行遅延に伴う計約720万円の賠償を求め、提訴した。
上告審では、同居の妻と、介護方針の決定に関わっていた長男が監督義務者にあたるかが争点となった。
判決はまず、配偶者や長男だからといって無条件に監督義務者だとする法的根拠はないと指摘。〈1〉介護者の生活状況〈2〉同居か〈3〉財産管理への関与〈4〉認知症の人が日常的に問題行動を起こしているか――など六つの要素を総合的に考慮し、「監督することが可能で容易」な場合だけ監督義務者と判断できるとした。
今回のケースでは、妻は要介護1の認定を受け、長男も20年以上、男性と別居していたことから、2人とも監督義務者にあたらないと結論付けた。
(2016.3.1 23:10 YOMIURI ONLINE)
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